チャットモンチーに学ぶスリーピースバンドのアレンジ力

チャットモンチー BEST~2005-2011~

年内に解散を発表しているチャットモンチー。ラストアルバムが6月に発売予定だったり、トリビュートアルバムが発売されたりなど着々と完結に向けて動いている今、初期(Wikiで言う第4期)のスリーピース状態の彼女たちの楽曲のアレンジ力に着目したいと思います。「学ぶ」とか言ってますが僕が勝手に偏見で語るだけです。

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「耳鳴り」の衝撃

耳鳴り (Forever Edition)

彼女たち自身、『「結局1枚目が一番良かったね」と言われるようなバンドにはなりたくない』というニュアンスの発言を過去にしているのでこの評価は不本意かも知れませんが、やはりファーストアルバムのインパクトが凄すぎました。もちろん僕が最初に聴いたアルバムということもあるので、他のアルバムを最初に聴いていたらまた違った感想だった可能性もあります。正確に言うと、「耳鳴り」の後の「生命力」、「告白」の初期三部作はどれも神がかっています。ジャケットのデザインの統一性などから、明確にトリロジーを作ろうとしていた気もします。

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アレンジの魅力

そんな勝手に黄金期と思っている時代の彼女らの楽曲の魅力の一つがアレンジ力だと思います。今でこそフォロワーがいっぱいいるけど当時はちょっと珍しい感じのアレンジもありました。バンド的に普通のことをしているようで実は凝っていて、けっこう分析すると自分の楽曲制作にも役立つかも知れません。ギターボーカル、ベース、ドラムという一般的なスリーピース構成の中でチャットモンチー独自のアイディアが光っています。

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リズム隊で差をつける

チャットモンチー 『「Last Love Letter」Music Video』

歌モノロックバンドにありがちな「ボーカルのギター弾き語りになんとなくベースとドラムが乗った」みたいな所謂安パイ的アレンジとの違いがチャットモンチーのアレンジの特徴の一つです。ボーカルの歌とメロディーが普遍的なので多分弾き語りだけでも十分魅力的だと思いますが、そこにベースとドラムがリズムで遊んでる感じがいいんですね。Last Love Letterはその魅力がよく出ている曲だと思います。リードギターがいない分、リズム隊を面白くしてリスナーを飽きさせない工夫ができています。

でも決してめちゃくちゃ上手いとか、テクを見せつけてる感じじゃなくて、あくまで主役は歌というのを皆が分かってる感じがします。バランスを崩さないギリギリのところを攻めてるような。だから割と複雑っぽいリズムながら全パートがスッと入ってきて、結果全体的にちょうどいい感じに仕上がってるのがすごいです。

楽器の役割を明確に

上記で出てきたLast Love Letterのサビ部分を見てみると、ギターはほとんどAとDのオープンコードを弾いていて、コードの進行はベースのルート音に任せています。また逆に、ベースリフを延々繰り返すような楽曲では、ギターのコード感でリードする感じになっています。各楽器一人ずつしかいないからこそ、役割分担をちゃんとして任せるところは任せる。それによって各パートの魅力がむしろ際立っています。別にスリーピースに限ったアレンジ法ではないですが、ついつい弾き語り的なノリでギターもコードチェンジしたくなるところを、分数コードで成り立つならルートはベースに任せるというのは効果的に使うと曲がかっこよくなるアイディアです。

音圧を犠牲にすることを恐れない

ギターが一本しかないと音圧を気にして単音フレーズやソロを使わないとか、使っても空間系かけまくって厚みを出してから弾くとか、そういうのもありがちだと思いますが、橋本氏はめっちゃ乾いた音で単音フレーズやソロを普通によく使っています。もちろんその時は、ほかにサポートも無しのライブの場合音圧スカスカになりますが、それがかっこいいというか、引き算の美学みたいなのがある気がします。むしろ素朴感やアンニュイな雰囲気が出て、ガールズバンドらしいかわいさが出てます。多分男くさいバンドが同じことやったら「ダサい」と一蹴されそうなアレンジも、彼女たちだから良いと言ったらアレですが、自分たちの武器をよく理解しているんだと僕は思います。

コーラスを最大限に活用

スリーピースバンドで重要なのがコーラスです。メンバーがほかのバンドより少ない分全員が歌に参加して迫力を出す。音圧を気にしすぎないといってもこういった部分はしっかりやっていて、当時の三人が曲によっては全員メインかってくらい頑張って歌っていました。もちろん全くコーラスやらないバンドもそれはそれでかっこいいです。が、チャットモンチーみたいな正統派で歌モノロックみたいなジャンルだとやっぱりあった方がいいし、実際曲の良さを引き出しています。

ライブで再現できないことはしない

これは当時何かのインタビューで語っていたことで、現在も同じ考えなのかは分かりませんが、音源(CD)で音を重ねまくっていると、ライブで全然違うやんってなるからなるべくライブでできないことはスタジオ音源でしたくないというようなことを言っていた記憶があります。確かに聴いてみると、ソロ時にバッキングを重ねたり左右でちょっと違うことをしたりしていますが、ライブ時と音源を比較するとほとんど変わらない演奏を聴くことができます。客が一番ライブで聴きたいのはCD通りの演奏だったりするので、ライブでがっかりさせないためのかっこいい信条だと思いました。もちろん今はメンバーも構成も変わってまた事情が違ってきているでしょうが。

現在のチャットモンチー

チャットモンチー 『majority blues』(Short Ver.)

初期の魅力をこうして語っていると今のチャットモンチーはどうなのかという話になりますが、今は今でまた違っていてかっこいいです。それを否定するつもりはありません。ラストアルバムはどういうアレンジになるのかわかりませんが、majority bluesやMagical Fictionあたりは初期と比べるとむしろシンプルになっている傾向にあります。よりメロディーや歌詞をメインに据えている印象。やっぱり楽器の音やメロディーセンスは相変わらず素晴らしいです。特にmajority bluesは元ドラムの高橋氏脱退あたりで離れていったファンにも聴いてもらいたいくらい名曲です。

まとめ

彼女たちの音楽的なこととか、信条的なことで僕が印象に残ったことを語ってみました。バンドやってる人だったらそんなん言われんでも分かっとるわっていう感じかも知れませんが、最近バンドや音楽を始めた初心者の方なら何かの参考にはなる気がします。解散後は伝説のガールズバンドみたいな位置づけになるのが確実なくらい、ちょっと他にいない凄いバンドチャットモンチー。その中でもアレンジセンス抜群の初期のアルバムを今一度聴きなおしてみてはいかがでしょう。

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