バンド活動の傍らDTMにも触れるようになり、色々と音源を買い足すうちにいつの間にか主要なドラム音源を3種類揃えてしまいました。このような比較記事はいくらでもありますし今更感はありますが、せっかくなので僕なりに使ってみた感想などを書いておきます。実際に曲の中で使ってみた例も載せているので良ければ参考に聴いてみてください。
Addictive Drums 2
豊富なプリセット
追加で拡張パックを購入しなくても、デフォルトでFairfax Vol.1、2、Black Velvetという3つの使えるキットが多くのプリセットとともに収録されています)。このプリセット類が最初からかなり作りこまれていて、自分で1から音作りするのが苦手な方もすぐにかっこいい音を見つけることができます。Fairfaxは最近のインディーポップ、ロック系のデッドなサウンドから、エレクトロっぽいものまで網羅しています。Black Velvetはオルタナやグランジなど90年代から現在までの激しめのロックが得意で、こちらもその手のジャンルならすぐにハマります。
もしもこれらの音源の中にしっくりくるものがない場合、僕はプリセット一覧の後ろの方にある「Clean ○○」というプリセットを選びます。これは、名前の通り音源パックの基本ドラムセットの音にAD側でEQやコンプなど一切かけていない名前の通りクリーンな状態のもので、これをDAW側で好みのEQなどを使って1から音を作っていきます。余計な味付けがないので音作りの手間こそ増えるものの、結果的に意図した音に近づけやすいです。大体各音源パックごとに大体2種類くらいのドラムセットを使っているようで、それぞれの素の音を確認する意味でも一度使ってみると面白いです。
デフォルトで入っている音源3つの中だと、Fairfax Vol.1のCraviottoのスネアにGretchのタイコ類という構成がお気に入りなのですが、キックが24インチでハイハットが16なのでジャンルによってはそこがちょっと重く感じるかも。その場合はそこの部分だけBlack Velvetのセットのモノに置き換えたりします。ハットもAジルジャン14インチに変えるとオールマイティーになる気がします。こういうことが手軽にできるので、拡張音源も全部揃えたくなりますね。
動作が軽い
初代の頃から感じていましたがこれら3つのドラム音源の中で最も動作が軽い気がします。僕のポンコツPCでもギターやベースのプラグインを複数入れた状態でサクサク動いてくれています。いちいち一度書き出したりバウンスして工程を分割する必要がなく、一度にやってしまえるので楽です。
音作りの幅について
トーンデザイナーなど音を積極的に編集できる機能により初代よりは幅が広がった気がしますが、やはり他の音源に比べると繊細な音作りは苦手な印象です。とは言えそれでも僕の用途では十分意図した音に出来ているので、あまり不満はないですが。最初からかっこいい音があるので、気に入ったプリセットがあったらそのまま使うのもアリです。
編集機能
個人的に使いやすいと思った機能は、スネアの表と裏のマイクの乗り具合を非常にわかりやすく弄れるところです。ザラザラ感やカンカン音を手軽に調整できるので便利です。特に取説など見なくても直感である程度分かる見やすいインターフェイスも魅力です。あとは複数のノートを一つにまとめる「リンク機能」。プリセットなどでは上手にこの機能を使って面白い音にしてあったりするんですが、僕はまだ使い道を見いだせていません。
Superior Drummer 2.0
続いてこちらも人気音源Superior Drummer。この3つの中では一番最後に購入したもので、まだあまり使いこなせていないかも知れません。最近3が出たみたいですが僕はまだ2で頑張ります。※3も購入しました。Superior Drummer 3については別記事でレビューというか感想を書いています。
シンプルで使いやすい
高音質ながら、3つの中で一番シンプルに使える音源だと思います。デフォルト音源や追加パックなどを見ると、全体的にロックが得意な印象です。メタル系の音を求めているユーザーにも人気があります。
X-drum機能の可能性
追加音源の太鼓やシンバルなどを好きな場所に好きな数だけ組み込めるX-drum機能というのがあります。また前述のAD2の「リンク機能」のように別々のドラムの音を混ぜることも可能です。これによって自分だけのドラムセットを作りこんでいくことができますが、シンプルなセットしか使わない僕はあまり触れる機会がない機能です。あくまで僕があまり使わないというだけで、使いこなせたらかなり自由な音作りが可能になるのは間違いない便利なものです。メタル系で音に厚みを出したり要塞セットを作りたいというような方はうってつけの機能かも知れません。
リズムパターンを手軽に追加
TOONTRACKよりSD、もしくはこの下位ソフト的存在EZ Drummer用のリズムパターンMIDIパックが豊富に販売されており、打ち込みが面倒な方もすぐにかっこいいリズムをコピペだけで再現することができます。リズムパターンの数はおそらく3つの中でも一番多いのではないでしょうか。
リムショットの違和感?
Superior Drummerを使って感じたのが、スネアのオープンリムショットの音色が使いにくいという点です。あまりそういう意見を他に聞かないので僕だけかも知れませんが、スネアのヒット音は「センター」という真ん中を叩いたときの音、「リム」というリムをかけて叩いた所謂オープンリムショットを主に使い分けます。これは他のドラム音源でも大体そうです。
ロックではほとんどオープンリムで叩くことが多いので音源でもそのように打ち込むのですが、このソフトはオープンリムの音がリム寄りすぎてあまり好みではありません。かと言ってセンターで打ち込むと少し迫力に欠ける気がします。
この問題の解決法として、バックビートのショットなどではセンターとリムの音を同時に打ち込んで、それぞれの音量を調整するという方法を取りました。すると見事に好みのオープンリムショット音を作ることができました。もしかしたら僕が知らなかっただけで実はこれが正解の使い方なんじゃ?と思うほどでした。でも他のドラム音源ではセンターとリムショットを同時に打ち込むことはないし…。謎な部分ですが個人的に満足な音が作れたのでこのソフトを使う場合スネアはこのやり方でやっています。
BFD3
最高峰のリアルさ
個人的な感想ではありますが前述の通り現在販売されているドラム音源の中では一番本物のドラムっぽいです。特にハイハットのオープン具合やシャフトとチップの打ち分け、スネアのリムのかかり具合や叩く強さ、シンバルのスウェル感などはかなり細かく突き詰めることが可能です。本物のドラムを演奏できる方もイメージしたプレイを忠実に再現することができます。
とにかく重い
今回ご紹介するドラム音源の中でダントツに重いです。最新のCPUにメモリもたっぷり積んだPCならば問題ないのかも知れませんが、i3にメモリ8Gの僕のPCだと頻繁にフリーズしたりバグが起こったりします。まあ推奨環境がi5以上なので仕方ないと言えば仕方ないのですが。
一番厄介なのは打ち込んだドラムをwav化するエクスポート中に、シンバルのサステインが途切れたりしてしまう現象です。この問題は色々とググった結果、設定画面の「Max cache buffers」の数値を最大(128)にすると解決するということが分かり、設定後は起こりにくくなりました。
全機能を理解するには勉強が必要
細かい音作りが可能な反面、機能は他の音源に比べて複雑な印象です。ですが使いこなすには覚えておく必要があるし、理解してしまえば非常に便利な機能ばかりです。アンビマイクの数や位置、タムの共鳴やシンバルの連打感の調整まで本当に細かいです。突き詰めれば生と聞き分けできないレベルまで到達可能かもしれません。僕はまだその域にはいけませんが。
各ドラム音源を使った音
僕のギター演奏のオケに使ったもので申し訳ありませんが、参考としてそれぞれのドラム音源を使った曲の例を載せておきます。音作りや打ち込み技術もまだまだ未熟なのであまり参考にならないかも知れませんが、DTMビギナーがとりあえず使ったらこんな感じになるというある意味でのサンプルになれば幸いです。
Addictive Drums 2を使った曲
Superior Drummer 3を使った曲
BFD3を使った曲
まとめ
簡単にまとめると、初めから作りこまれた(しっかり味付けされた)音をそのまま使いたい、分かりやすい編集画面が良いという方はAD2。独自のドラムセットを手軽に作りたい、ロックやメタルのサウンドが多く欲しい、なるべくシンプルに使いたいという方はSD2.0。十分なスペックのPCがあって、ある程度編集機能の勉強をする気があり(またはすでに知識があり)音質やリアルさを追求したいという方はBFD3という感じでしょうか。
それぞれにメリット・デメリットがあり、これを買えば正解というのがないですが、ドラム音源選びの参考にしてみてください。
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