PC・DTM作業用の椅子をゲーミングチェアに変更してみました。今回僕が選んだのはNitro ConceptsのS300というシリーズ。人気のあるゲーミングチェア界の二大巨頭DXRACERとAKRACINGをあえて避けてこれにした理由と、実際の座り心地などを他製品と比較しながらレビューしていきます。
DTMにゲーミングチェア
そもそもゲームの頻度はそこまで高くなく、僕がPCに向かう際にやることと言えばブログ書く・DTM・動画編集などで、どちらかというと作業がメインです。そのため最初はオカムラやハーマンミラーあたりの高級オフィスチェアも検討していましたが、予算の問題と、作業の合間や動画鑑賞時にリクライニングでくつろげたら良さそうだと思ったこと、頭まで支えてくれる背もたれ、そして好奇心などの理由からゲーミングチェアに的を絞りました。
メーカーの信頼性
そんな昨今のゲーミングチェア業界、様々なメーカーが参戦してきています。あまり聞いたことがないメーカーの安すぎるものは正直怪しさを感じてしまい、実際そのような製品はパーツの破損や問題のあるメーカー対応等のレビューが目立ち、購入を躊躇してしまいます。
それを考慮すると結局DXRACERかAKRACINGあたりが無難……となってしまう中で、もうひとつおすすめしたい選択肢がNoblechairsというドイツのメーカー。ドイツ製高級車にインスパイアされたデザインが売りだそうで、まあ正直ゲーミングチェアのデザインは似たり寄ったりですが、それよりも重要な椅子自体の耐久性やつくりに信頼性があるブランドの一つです。前述のDXとAKにも引けを取りません。
ファブリック素材の快適さ
ゲーミングチェアを選ぶ際にまず最初に譲れなかった条件が「ファブリック(布製)」という点でした。主流なゲーミングチェアの素材は主にPUレザーかファブリックの二つに分かれます(本革も存在しますがかなり値が張るので今回は除外)。見た目の高級感、汚れにくさではPUレザーの方に軍配が上がりますが、実はそれを帳消しにしてしまうくらいのデメリットが存在します。それが加水分解。
これがあるせいでPUレザーは数年経つと表面がボロボロになって見るも無残な姿に変わり果てます。手入れである程度維持期間は伸びるものの、最終的には避けられないでしょう。まして湿気の多い日本の気候では、加水分解が早まり寿命が短くなる傾向にあります。実際に僕の前任のPUレザー製社長椅子はこれでダメになりました。あとPUレザーはどうしても密着部分が蒸れます。夏場などは特に不快感があります。
一方でファブリック素材は、PUレザーに比べて汚れは付きやすいものの加水分解という時限爆弾もなく、通気性のある素材なので蒸れません。これらを考慮したときにオールファブリックのNitro Concepts S300が有力候補となりました。
窮屈さのないゆったり感
しかし、店舗で試座したときに若干窮屈に感じてしまい、候補から外れました。ゲーミングチェアの特長としてバケット型で背もたれの両側が出っ張った形状をしています。これが身体をホールドし姿勢を維持させるのですが、このでっぱりが体型と合わないと邪魔でしかなくなります。
僕は179cm65kgで、DXRACER公式情報によるとDXR-BKNの適応身長は155~175cmらしい。適応外なので合わなかったのも納得です。レビューを見ると大体175cm以上の人は「窮屈」、「ヘッドレストの位置が合わない」などの不満があるようでした。
3Dアームレストの恩恵
これが意外とありがたいです。競合他社の同価格帯の商品はほとんどが1Dアームレスト(上下にしか調整できない)ですが、それに比べてこの商品は更に前後、ななめにも調整可能な3Dアームレスト標準装備です。キーボードとマウスの位置に対して、より細かく腕が疲れない位置を見つけることができます。あと、リクライニング時に手前に引き寄せるとかなりリラックス状態に。
1Dしかない他社製品も、やろうと思えば後から4Dアームレストに換装可能だったりします。でもその別売りアームレストがいいお値段しているので、結局最初から3Dが付いているこのチェアがコスパ的な面でもベストだと思います。
比較・検討した他のチェア
この製品の購入前に比較・検討した特徴が似ている製品をご紹介しておきます。人によってはこれらの方が合うかも知れません。
DXRACER DXR-BKN
先ほどもご紹介したこの製品。「オールファブリック・お求めやすい・とても人気」という一見パーフェクトな特徴でしたが、前述の通り自分の体型には「窮屈、小さ目」という理由でやめました。
AKRACING Wolf
こちらのチェアはDXRよりゆったり目で、ファブリックという条件も満たしていますし狙い目かなと思ったのですが、よく見てみると一部(色が濃い部分)の素材がPUレザーになっているようで、そこが加水分解しちゃったら結局ダメなので却下。あと検討時にはS300よりお値段も上でした。Amazonのセール時期はかなり安くなっているときもあるので同じく検討している方はその辺りを狙うとお得かもです。
E-WIN 2019
これもオールファブリックで候補でした。が、調べてみると座面がかなり低めで、僕の机の高さ(71cm)と合わず見送ることに。ゲーミングチェアには珍しい前傾チルト機能付きで、前屈みになる作業でもフィットするというのは魅力的でしたが……。そんな機能をつけたせいか椅子自体がガタつくという情報も散見されました。あとは製品紹介文の日本語がちょっと怪しかったのでそれも若干マイナスポイントでした。
実際に座ってみて
注文後大きな箱が届き、多少手こずりつつも組み立てが完了。実際に作業に使用してみた感想としては、確かに以前の安物社長椅子に比べるとお尻が安定し痛みが軽減されました。しかし流石に5,6時間とかぶっ通しで座っていると多少は痛くなりますね。適度な運動と休憩が大切です。ゲーミングチェアのいいところは、疲れたら思いっきりリクライニングして休めるところです。椅子から移動しなくてもそれなりに休憩できます。オットマン(足置き)もあれば、最早ベッド……とまではいかないまでも、普通に寝落ちしてしまいます。
本格的な作業に特化するなら、前傾チルト機能もついた高級オフィスチェアがベストだと思います。しかし姿勢が矯正されシャキッとして、いかにも仕事専用!という感覚になります。適度に作業もして、くつろぎつつゲームや動画などの遊びも楽しむ使い方なら、ゲーミングチェアがバランスよく対応可能だと思います。このS300はサイズ感やアームレストの可動域などオールマイティに姿勢に対応できるので、キーボードスライダーを併用して後傾姿勢で作業もする僕の環境でもフィットします。
Nitro Concepts S300のデメリット
総合的には満足ですが、人によっては気になるかもしれない特徴をいくつか挙げておきます。
座面の硬さ
まず、ふかふか系の椅子に鳴れている人には、座面のウレタンが硬めに感じる可能性があります。個人的にはこの高反発な感じが長時間座ったり腰・お尻の痛みを軽減するのに必要だと思いますが、柔らかい座り心地を求めている人は注意です。
小柄な方は注意?
これまで長身・大柄な方にとってのメリットを多く挙げましたが、もちろん小柄な体型の方にはこれらの特長がデメリットになることもあるかもしれません。逆にヘッドレストの位置が高すぎたり、椅子自体がゆったりしすぎていたり。あまり置いている店舗はないようですが、やはり一度試しに座ってみて欲しいところです。
ちょい足しでグッズで快適に
そのまま座った感触も文句はないのですが、グッズを足すことでさらに長時間座る際の疲労が軽減されたり、手入れが楽になったりしました。
ニトリ 座椅子カバー
ニトリで売っている一番お求めやすいメッシュ素材の座椅子カバー。座椅子とありますが実はゲーミングチェアにフィットします。フリーサイズのゴムで留めるタイプになっていて、上部はヘッドレストに通すとちょうどしっくりきました。
カバーは洗濯できるので、これを装着することでファブリック素材の「PUレザーに比べて汚れがつきやすく手入れがめんどくさい」という弱点を克服できます。このカバー自体もメッシュなので通気性も保たれます。S300のみならず、実はすべてのゲーミングチェアにおすすめのカバーです。ただ、見た目デザイン性皆無になるという欠点はありますが……。
ジェルクッション
硬めの座面が苦手という方は、クッションを敷くことによりお好みの硬さに調整できます。しかし、ふかふか系の座布団や、安易な低反発クッションは座り始めの感触こそ心地いいものの、個人的な感覚としてはこの辺りのものは時間がたつとともにお尻が痛くなってきます。色々と試してみて一番しっくりきたのがこのジェルクッションです。硬さ、耐久性、厚さなどがゲーミングチェアと相性良く、いい意味で敷いていることを忘れます。
まとめ
まだ新しい「ゲーミングチェア」という製品界隈の中でも新製品であるこのNitro Concepts S300。あまり認知されていないようですが、後発だけあってロングセラーのDXやAK製のチェアの欠点も補いつつコスパも維持した仕上がりで、今ファブリック素材のゲーミングチェアを検討している方には僕のようにベストな選択に成り得る可能性があります。
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